光と風と人が自由に通う住まい
6月 1st, 2012私の友人は、両親が高齢になってきたので、実家を二世帯住宅に建て替えることになりました。実家は住宅密集地にあって、3方向が隣家に接しています。そのため、採光には恵まれませんでした。そこで、唯一、道路に面している西側を玄関と掃き出し窓にして、光を取り入れようと思いましたが、部屋の中が丸見えになってしまいます。
そこで、高窓を設けて換気に使い、その下の壁部分には、ガラスブロックをはめ込みました。玄関を入ると、玄関ホール全体がこのガラスブロックから入る光で明るくなります。玄関ホールとリビングの間はガラス板を入れた格子戸で、採光に配慮した間仕切りを設置しました。2階には物干し用のバルコニーを設置しましたが、どうしても1階のリビングが暗くなるので、グレーチングのものにしました。こうして、住まいに取り込んだ大切な光をできるだけ遮ることなく住まいの奥へ誘っていくように工夫したそうです。
ただ、採光を優先すると、どうしても、プライバシーや防犯の面で不安が残りますので、換気が必要でない部分には、ガラスブロックやはめ込みのステンドガラスを採用し、換気にも利用する場合は、
窓を採用するというように適材適所で使い分けしました。道路から玄関・玄関ホール、玄関ホールからリビングダイニングへと続く動線は全て、バリアフリーで、高齢の両親がつまずかないように、工夫しています。住まいは、風、光、人ができる限り壁などでさえぎられることなく、自由に流れていくことが大切です。
皆が集うリビングダイニングから個々の生活を充実させるプライベートルームへの動線も自由であると同時に、孤立しない工夫が大切です。それは、住まいと言う形だけでなく、家族それぞれの心にも壁を設けないことでもあります。