浴室の安全性

11月 13th, 2021

 浴室は、滑って転んだり、浴槽で溺れるなどの事故が多い場所です。それだけに家庭の中でも最も危険な場所の一つなのです。そこでしっかりと安全面を確保して、安心して入浴できるようにしておきましょう。
まずは、滑りにくく、衝撃を吸収してくれる床にします。つるつるとしたタイルの床は滑りやすく、転ぶと大きなケガをすることがあります。最近の浴室の床は表面の凹凸を細かくすることで、濡れていても足が床面をピタッととらえ、滑りにくい形状になっているのです。万が一転んでも衝撃を吸収してくれるクッション性を持たせたものや、膝を直接ついても痛くない柔らかい感触の床になっているのです。次は、浴槽のまたぎやすさです。以前に多かった和式の浴槽は高さがあるだけでなく、床に置くタイプであるため、入浴する時に足を高く上げてまたがなければなりませんでした。小さい子ども、足腰の弱い人はとても入りにくいのです。最近は浅型の形状の浴槽が増え、半埋め込み式が主流となったことで、浴槽のへりのまたぎ部分の高さが低くなり、浴槽への出入りがスムーズに行えるのです。
浴槽のまたぎ部分の高さは低すぎても入りにくく、床から40㎝前後が適切な高さと言われています。この高さは、いったん浴槽に腰かけてから入浴動作に移れる高さであり、足腰の弱い人や小さな子どもでもスムーズで安心に入浴することができるのです。
そして最後に、入浴動作を考え、転びやすい姿勢になる時に、身体を支えられるように手すりを設置しておきます。このようにしっかりと浴室の安全面を確保して、快適なバスタイムを送れるようにしておきましょう。

リビングに求められるあかり

10月 19th, 2021

 家族が長時間共に過ごすリビングは、その時々の気分や目的によって適したあかるさで空間を照らし、より空間の居心地の良さや過ごしやすさに繋げたいものです。
そこで、リモコン一つで明るさの度合いや色温度を簡単に操作できる照明を取り入れてみてはいかがでしょうか。気になるのは色温度です。色温度とは、光の色を数値で表したものです。高い色温度はより爽快な雰囲気に、低い色温度ではより落ち着いた雰囲気をつくることができるのです。人が心地よさを感じるのは快晴の青空です。そこで一日の始まりや朝目覚めた時、リフレッシュしたい時には、スッキリとしたあかるさが求められます。そこで色温度が高い白~青っぽい光色で空間を照らすことで、スッキリと、爽やかな気分になります。
家族みんなで過ごす夜の時間はくつろぎのあかるさが求められます。色温度が低い赤みがかった光色で空間を照らすことで、夕暮れ空をイメージしたより落ち着いた雰囲気の空間が広がります。そうすると部屋のくつろぎ感が高められ、家族や友人達とくつろぎ、リラックスするには最適なのです。リビングでは読書や勉強を行うこともあります。この場合は、スッキリとした色温度が高い白~青っぽい光色で空間を照らし、尚且つあかるさの度合いをアップさせます。そうすることで文字がくっきりとして読みやすさが増します。
このようにリビングにはその時々で求められる色温度やあかるさの度合いも異なります。色温度や度合いを調整できる照明を選択して、リビングで過ごす時間がより充実としたものとなるようにしておくのも大事なことなのではないでしょうか。

窓の重要性

7月 10th, 2020

住宅において窓の存在はなくてはならないものです。庇や軒を深くして日差しを遮ったり、厚い茅葺屋根の断熱効果を利用したり、風通しをよくしたりすることで、夏の暑さを和らげることができます。窓などの開口部の日射遮蔽は重要です。日射遮蔽性や断熱性が悪ければ、夏も冬も開口部を通して大量の熱が出入りしてしまいます。

夏は涼しく、冬は暖かい住まいを目指すのであれば、窓の断熱性に注目しておきましょう。暖房時の熱が流出する割合は、屋根5%、床7%、換気・外壁15%、窓58%です。冷房時に熱が入る割合は、床3%、換気6%、外壁7%、屋根11%、窓73%です。この数字を見ても窓の断熱性が求められるのが一目瞭然です。そこで最近では、遮熱高断熱Low-E複層ガラスが多くの住宅で用いられるようになってきました。これは、2枚の板ガラスの間に乾燥空気を封入し、室外側ガラスの中空層面側に遮熱高断熱特殊金属膜をコーティングしたものです。

この特殊金属膜は太陽光線のなかで、可視光線を最大限に透過させ、赤外線・紫外線を大幅にカットするのです。

夏のギラギラ照り付ける日差しや窓辺の不快な熱気をしっかりとカットしてくれます。普通の一枚の板ガラスに比べて約5倍もの日射熱をカットするパワーがあります。夏は太陽の熱を大きく反射するので冷房効果を高め、冬は高断熱性能を発揮し室内の暖かさを室外に逃がしにくくするので暖房効果の向上にも役立つのです。

結露抑制も期待できます。結露を抑制することで、アトピーの一因と言われるカビやダニの発生を抑えるので、健康な住空間を作り出す要素となります。

窓の断熱性に注目して快適な住まいが広がるようにしておきたいものです。

ユニバーサルデザイン―トイレ 

10月 7th, 2012

 高齢者や障害者が普通の生活ができるように生活に取り入れられた考え方がバリアフリーですが、トイレに入るのに段差をなくしたり、手摺をつけたり、引き戸にしたりして、トイレをしやすいように工夫します。

我が家の場合、大便器と小便器を設置しましたが、もし、誰かが車椅子が必要になったときは、大便器と小便器の間に設けている壁を簡単に取り除くことができます。トイレの広さが二倍になり、車椅子で使用するのに、十分な広さが確保されます。

この住まいを建てた時、父は58才で、母は53才でした。まだまだ働き盛りでしたから、高齢になるとか、介護が必要になるとか、そんなことは現実感ありませんでした。あれから25年です。まだ、介護は必要ありませんが、自分でトイレに行く時、バリアフリーのトイレはすごく便利です。

介護というのが現実感なかった25年前、正直、将来のことを考えて可変性のある仕切り壁を設置してくれた工務店さんの話をあまり真剣に聞いていませんでした。当時、流行り始めていたバリアフリーのトイレを作ったぐらいにしか思っていませんでした。それが必要で、便利だと自覚するほどではありませんでした。その良さが分かってきたのは、住み始めてからでした。足をねんざした時や妊娠した時でした。ちょっとした段差がこんなに大変だとは思いませんでした。高齢だから、バリアフリーが必要なのではありませんでした。

先日、母親が腰を痛めたので、トイレに付き添った時、工務店さんの先見の明を実感しました。介助するのに壁が邪魔で、肘などを打ってしまいましたから、やはり、本格的に介護が必要になったら、壁を取り外そうと思います。それに、もっと便利になったユニバーサルデザインの便器が売り出されています。また、工務店さんに相談しようと思っています。

ユニバーサルデザイン―キッチン

9月 6th, 2012

 高齢者や障害者が普通の生活ができるように生活に取り入れられた考え方がバリアフリーです。住まいを建てる時にもこの考え方が浸透してきました。この考え方がさらに進んだのが、ユニバーサルデザインです。高齢者や障害者や健常者と区別するものでなく、全ての人が使いやすいようにデザインすることです。住まいもバリアフリーからユニバーサルデザインに注目されるようになりました。

 例えば、IHクッキングヒーターですが、ヒーター部分からカウンターまで完全にフラットなので、掃除することも簡単です。それに、操作部も天板に設置されているので、腰をかがめて操作することもないので、高齢者や障害者でなくとも、楽です。また、水栓も

軽くタッチすることで、水やお湯を出すことができます。キッチンカウンターには、サポートバーがついています。これによりかかって作業をすると、足への負担が軽減します。シンクは、隙間がなく、汚れが付きにくく、落とし易いですし、カウンターも特殊樹脂コーティングをしているので、汚れがこびりつきにくく、落とし易いです。このように、キッチン一つをとっても、誰もが使いやすいデザインがどんどん採用されています。

 交通事故よりも多いといわれる家庭内事故を防ぐためには、年齢や障害の有無や程度に関係なく、誰もが安全に快適に暮らす環境が大切です。住まいを新築する時、ユニバーサルデザインの住まいを考えていくことで、高齢になっても、障害をもっても、一人暮らしになっても住み続けていくことができる素敵な終の棲家になっていくことでしょう。住まいを若い時に建てることもあります。若くても、人に優しい住まいになります。

福祉から見た住まい

8月 24th, 2012

 先日、私が住む町で、1つの心温まる会が発足しました。

それは、福祉から見た住まいを考える集まりです。介護保険が施行されてから早いもので11年、介護保険を利用して、高齢者や障害者が在宅で自立した生活を可能にしたり、介護しやすい環境を整えたりするために、リフォームするケースが増えています。

しかし、個人によって障害の程度はさまざまですし、男性、女性、身長などの体形も違います。また、もともとある住まいのリフォームですから、さまざまなケースがあります。そこで、色々な専門家が連携していくことが大切ですが、なかなかその連携する場がありません。医療関係、福祉関係、建築関係の専門家が専門知識を出して、勉強会をしていくのだそうです。今まで、あるようでなかった勉強会です。

 例えば、単に手摺をつけると言っても、その人の身長によって設置する高さも違います。また、手摺の太さもその人によって、違います。その人の障害の部位や程度によって、手摺の設置場所も違います。手摺をつけることは簡単なことですが、その人のニーズに合った手摺をつけるということになると、とても難しいことです。まして、住まい全体を障害の程度に合わせて、リフォームしていくということは、そんなに簡単なことではありません。しかも、リフォームを担当するのは、医療や福祉の専門知識のない健常者の建築関係の専門家です。それぞれの知識が孤立した状態で、活かされていないのが現状です。

それらの専門家間の橋渡しをし、知識を補い、アドバイスしてくれたとしたら、個々のケースに即した対応ができます。これから医療の発達とともに、ますます在宅医療が推進されていきます。

在宅医療において、最重要課題は、環境を整えることです。在宅医療を支える医療環境、福祉環境だけでなく、住環境を整えることは不可欠になっていきます。それらの知識と経験豊富な工務店のニーズが増えてくることでしょう。

息子と住む住まい

7月 13th, 2012

 私の友人の息子さんは在宅で闘病生活を続けています。

以前は、入院していましたが、4年前に在宅医療専門のクリニックを開業された先生を紹介していただき、在宅に切り替えたそうです。そのため、住まいをリフォームしました。今は、専用の車椅子で移動することもできますし、パソコンを使って、色々な人とのコミュニケーションもできるので、彼の生活の場を1階に設け、できるだけ壁をなくして、車椅子で自由に移動ができるように、段差をなくし、玄関から外出しやすいように、緩やかなスロープもつけました。

彼の部屋には、現在だけでなく、将来、必要な医療機器などが丸ごと収納できるように、作りつけの棚を設置しましたから、車椅子の移動にも支障がありません。

 在宅で闘病するということは、意識が闘病だけに向かわず、普段通りの家族との生活が続けられることで、心が癒されるというメリットがあります。反面、普通は、健常者が住むことを想定した住まいなので、闘病には不便であり、不安でもあります。そこで、介助しやすいように、専門家の助言を得て、住まいをリフォームしようと思ったそうです。頼んだ工務店さんは、福祉住環境コーディネーターの資格を持っていて、高齢者や障害者などが住みやすい環境を提案してくれましたし、実際に多くの施工事例を経験していました。それでも、彼女の息子さんのように、進行性の難病を持っている患者さんの在宅医療をしていく部屋ということで、想定外のことも多かったようです。

そこで、主治医や担当看護師にも会って、医学的な助言もしてもらい、病院も見学させてもらうなど、工務店さんなりに勉強もされたようです。住まいに必要とするものは、個々の家庭の事情によって違います。それを細かく聞いて、実現してくれるのが、このような仕事熱心な工務店さんです。