ユニバーサルデザインの町づくり

11月 9th, 2012

 最近は、住まいだけでなく、街全体をユニバーサルデザインして、誰もが暮らし易い空間を考えていくようになりました。もちろん、これは、個人レベルでなく、地方自治体レベルでの取り組みですが、道路の段差をなくしたり、連絡通路にスロープを設けたりしています。ある町では、幼稚園や保育園と高齢者のディサービスやショートスティの施設などを隣接させ、その周囲に集合住宅や戸建て住宅を建てて、相互が助け合いながら、生活をしていくような町づくりを推進しています。

 1つの住まいを建てる時、そこには家族が住みます。家族には、二世代、もしくは三世代が生活します。幼い子たちや高齢者に対しては手助けをし、安全で快適に暮らしていけるようにします。また、建物を建てる時点で、工務店さんと考えて、ユニバーサルデザイン

を取り入れていきます。生活するのに大変だったことが改善されたり、ひやひやしながらしていたことが安全になったりします。そういう安全性や快適性が玄関から戸外のアプローチに広がり、道路や橋や駅など街全体に広がっていきます。商店一つ一つにスロープをつけたり、飲食店のトイレなどにユニバーサルデザインのものを採用したりする助成もあります。低床バスや電車を採用したり、道路の段差をなくしたりもしています。ハード面だけでなく、ソフト面でも、乗り合いタクシーを携帯電話で予約するシステムや助けを必要な人が援助できるボランティアに繋ぐシステムも構築されています。

 誰もが安全で快適に暮らせる街というのは、自分が高齢になったり、障害を持ったりしたときでも、自立して、社会生活をしていく可能性が大きく広がっていきます。誰かのためにではなく、いつか、自分がその立場になった時に自分を助けることになります。そんな町こそ、終の棲家を建てるにふさわしいと思います。そんな取り組みが全国各地で模索されています。

ユニバーサルデザイン―トイレ 

10月 7th, 2012

 高齢者や障害者が普通の生活ができるように生活に取り入れられた考え方がバリアフリーですが、トイレに入るのに段差をなくしたり、手摺をつけたり、引き戸にしたりして、トイレをしやすいように工夫します。

我が家の場合、大便器と小便器を設置しましたが、もし、誰かが車椅子が必要になったときは、大便器と小便器の間に設けている壁を簡単に取り除くことができます。トイレの広さが二倍になり、車椅子で使用するのに、十分な広さが確保されます。

この住まいを建てた時、父は58才で、母は53才でした。まだまだ働き盛りでしたから、高齢になるとか、介護が必要になるとか、そんなことは現実感ありませんでした。あれから25年です。まだ、介護は必要ありませんが、自分でトイレに行く時、バリアフリーのトイレはすごく便利です。

介護というのが現実感なかった25年前、正直、将来のことを考えて可変性のある仕切り壁を設置してくれた工務店さんの話をあまり真剣に聞いていませんでした。当時、流行り始めていたバリアフリーのトイレを作ったぐらいにしか思っていませんでした。それが必要で、便利だと自覚するほどではありませんでした。その良さが分かってきたのは、住み始めてからでした。足をねんざした時や妊娠した時でした。ちょっとした段差がこんなに大変だとは思いませんでした。高齢だから、バリアフリーが必要なのではありませんでした。

先日、母親が腰を痛めたので、トイレに付き添った時、工務店さんの先見の明を実感しました。介助するのに壁が邪魔で、肘などを打ってしまいましたから、やはり、本格的に介護が必要になったら、壁を取り外そうと思います。それに、もっと便利になったユニバーサルデザインの便器が売り出されています。また、工務店さんに相談しようと思っています。

ユニバーサルデザイン―キッチン

9月 6th, 2012

 高齢者や障害者が普通の生活ができるように生活に取り入れられた考え方がバリアフリーです。住まいを建てる時にもこの考え方が浸透してきました。この考え方がさらに進んだのが、ユニバーサルデザインです。高齢者や障害者や健常者と区別するものでなく、全ての人が使いやすいようにデザインすることです。住まいもバリアフリーからユニバーサルデザインに注目されるようになりました。

 例えば、IHクッキングヒーターですが、ヒーター部分からカウンターまで完全にフラットなので、掃除することも簡単です。それに、操作部も天板に設置されているので、腰をかがめて操作することもないので、高齢者や障害者でなくとも、楽です。また、水栓も

軽くタッチすることで、水やお湯を出すことができます。キッチンカウンターには、サポートバーがついています。これによりかかって作業をすると、足への負担が軽減します。シンクは、隙間がなく、汚れが付きにくく、落とし易いですし、カウンターも特殊樹脂コーティングをしているので、汚れがこびりつきにくく、落とし易いです。このように、キッチン一つをとっても、誰もが使いやすいデザインがどんどん採用されています。

 交通事故よりも多いといわれる家庭内事故を防ぐためには、年齢や障害の有無や程度に関係なく、誰もが安全に快適に暮らす環境が大切です。住まいを新築する時、ユニバーサルデザインの住まいを考えていくことで、高齢になっても、障害をもっても、一人暮らしになっても住み続けていくことができる素敵な終の棲家になっていくことでしょう。住まいを若い時に建てることもあります。若くても、人に優しい住まいになります。