外部収納

12月 14th, 2021

 家造りで大部分の人が収納を重視することと思います。この収納とは室内の収納ばかりが注目されてしまい、屋外で使用するもの、室内に収納しておくことができないものを収納する外部収納は忘れ去られてしまうことが多いのです。後から気づいて庭やカーポートスペースに慌てて物置を設置するというケースも少なくありません。収納への満足度を高めるにはこの外部収納においてもしっかりと計画しておかなければなりません。
私が住んでいる地域は冬の寒さが厳しく、冬はスタットレスタイヤが必須です。そこでこのタイヤを保管する場所が我が家には必須でした。そこで建物内に生まれるデッドスペースを利用して外部収納を計画しました。そうすることで庭やカーポートスペースを占領することがありませんし、何よりも住宅の外観をスッキリとさせることができるのです。素敵な住宅でも物置が目に入ると一気に生活感で溢れてしまいます。建物内に外部収納をビルトインさせることで見た目の印象を損なうことがなく、屋外で使用するものをきちんと整理整頓しておくことができます。
外から物の出し入れができるように勝手口を設け、しっかりと照明も設置しています。車から外部収納に、外部収納から車に物を移動させることもあるため、外部収納とカーポートの動線、そして通路幅をしっかりと考慮しました。スタットレスタイヤだけでなく、アウトドア用品、子ども達の屋外用おもちゃ、ガーデニング用品、お米の備蓄庫としても利用しています。外からの動線だけでなく、室内からの動線を確保しました。
室内からの動線があることで、日用品や掃除機など室内で使用するものも整理することができています。
このように外部収納においてもしっかりと計画し、収納への満足度を高めておきましょう。

光と風と人が自由に通う住まい

6月 1st, 2012

 私の友人は、両親が高齢になってきたので、実家を二世帯住宅に建て替えることになりました。実家は住宅密集地にあって、3方向が隣家に接しています。そのため、採光には恵まれませんでした。そこで、唯一、道路に面している西側を玄関と掃き出し窓にして、光を取り入れようと思いましたが、部屋の中が丸見えになってしまいます。

そこで、高窓を設けて換気に使い、その下の壁部分には、ガラスブロックをはめ込みました。玄関を入ると、玄関ホール全体がこのガラスブロックから入る光で明るくなります。玄関ホールとリビングの間はガラス板を入れた格子戸で、採光に配慮した間仕切りを設置しました。2階には物干し用のバルコニーを設置しましたが、どうしても1階のリビングが暗くなるので、グレーチングのものにしました。こうして、住まいに取り込んだ大切な光をできるだけ遮ることなく住まいの奥へ誘っていくように工夫したそうです。

ただ、採光を優先すると、どうしても、プライバシーや防犯の面で不安が残りますので、換気が必要でない部分には、ガラスブロックやはめ込みのステンドガラスを採用し、換気にも利用する場合は、

窓を採用するというように適材適所で使い分けしました。道路から玄関・玄関ホール、玄関ホールからリビングダイニングへと続く動線は全て、バリアフリーで、高齢の両親がつまずかないように、工夫しています。住まいは、風、光、人ができる限り壁などでさえぎられることなく、自由に流れていくことが大切です。

皆が集うリビングダイニングから個々の生活を充実させるプライベートルームへの動線も自由であると同時に、孤立しない工夫が大切です。それは、住まいと言う形だけでなく、家族それぞれの心にも壁を設けないことでもあります。