ユニバーサルデザイン―キッチン

9月 6th, 2012

 高齢者や障害者が普通の生活ができるように生活に取り入れられた考え方がバリアフリーです。住まいを建てる時にもこの考え方が浸透してきました。この考え方がさらに進んだのが、ユニバーサルデザインです。高齢者や障害者や健常者と区別するものでなく、全ての人が使いやすいようにデザインすることです。住まいもバリアフリーからユニバーサルデザインに注目されるようになりました。

 例えば、IHクッキングヒーターですが、ヒーター部分からカウンターまで完全にフラットなので、掃除することも簡単です。それに、操作部も天板に設置されているので、腰をかがめて操作することもないので、高齢者や障害者でなくとも、楽です。また、水栓も

軽くタッチすることで、水やお湯を出すことができます。キッチンカウンターには、サポートバーがついています。これによりかかって作業をすると、足への負担が軽減します。シンクは、隙間がなく、汚れが付きにくく、落とし易いですし、カウンターも特殊樹脂コーティングをしているので、汚れがこびりつきにくく、落とし易いです。このように、キッチン一つをとっても、誰もが使いやすいデザインがどんどん採用されています。

 交通事故よりも多いといわれる家庭内事故を防ぐためには、年齢や障害の有無や程度に関係なく、誰もが安全に快適に暮らす環境が大切です。住まいを新築する時、ユニバーサルデザインの住まいを考えていくことで、高齢になっても、障害をもっても、一人暮らしになっても住み続けていくことができる素敵な終の棲家になっていくことでしょう。住まいを若い時に建てることもあります。若くても、人に優しい住まいになります。

福祉から見た住まい

8月 24th, 2012

 先日、私が住む町で、1つの心温まる会が発足しました。

それは、福祉から見た住まいを考える集まりです。介護保険が施行されてから早いもので11年、介護保険を利用して、高齢者や障害者が在宅で自立した生活を可能にしたり、介護しやすい環境を整えたりするために、リフォームするケースが増えています。

しかし、個人によって障害の程度はさまざまですし、男性、女性、身長などの体形も違います。また、もともとある住まいのリフォームですから、さまざまなケースがあります。そこで、色々な専門家が連携していくことが大切ですが、なかなかその連携する場がありません。医療関係、福祉関係、建築関係の専門家が専門知識を出して、勉強会をしていくのだそうです。今まで、あるようでなかった勉強会です。

 例えば、単に手摺をつけると言っても、その人の身長によって設置する高さも違います。また、手摺の太さもその人によって、違います。その人の障害の部位や程度によって、手摺の設置場所も違います。手摺をつけることは簡単なことですが、その人のニーズに合った手摺をつけるということになると、とても難しいことです。まして、住まい全体を障害の程度に合わせて、リフォームしていくということは、そんなに簡単なことではありません。しかも、リフォームを担当するのは、医療や福祉の専門知識のない健常者の建築関係の専門家です。それぞれの知識が孤立した状態で、活かされていないのが現状です。

それらの専門家間の橋渡しをし、知識を補い、アドバイスしてくれたとしたら、個々のケースに即した対応ができます。これから医療の発達とともに、ますます在宅医療が推進されていきます。

在宅医療において、最重要課題は、環境を整えることです。在宅医療を支える医療環境、福祉環境だけでなく、住環境を整えることは不可欠になっていきます。それらの知識と経験豊富な工務店のニーズが増えてくることでしょう。